地上最後の男−Ｔｈｅ ｌａｓｔ ｍａｎ ｏｎ ｅａｒｔｈ−
「僕は地上最後の男なんだ。」
部屋の中でそうつぶやいた時、ノックの音がした。
「ひさしぶり。」
立っていたのは幼なじみのルナだった。
「いったいぜんたい。」
「約束したでしょ。」
「約束なんて。僕は地上最後の男なんだ！」
「ばっかじゃないの。」
「そうだよ！ ばかなんだ。」
「いいじゃない、試験の点がすこしくらい悪くても。」
「少しくらいじゃないんだよ、ビリなんだ。」
「あら、それで地上最後の男ってわけね。」
「そうだよ。」
「でも、ここでは月上最後の男って言わなくちゃね。」
「どっちでもいいだろ。」
「そう、じゃあこれはいらないわね。」
「何？」
「最近カカオ豆の栽培に成功したのは知ってるでしょ。」
「えっ、じゃあチョコレート、本物の。」
「手に入れるの苦労したんだから。」
「くれるの。」
「半分ね。公園で食べましょ。今はちょうど満地球だから綺麗なながめよ。」
「そうだね。」
「それが終ったら、特訓よ。試験休み中にとりかえさないとね。」
「えー、それは今度にしようよ。」
「それじゃあ、チョコも今度ね。」
「そんなあ。」
「それに、やめといた方がいいかもね。ほら、見てよこのラベル。」
「ルナティックチョコレートかぁ。」
ｒｅｔｕｒｎ ｔｏ Ｖ